CASE
株式会社カオナビ
組織の資本である人材情報を一元化する「タレントマネジメントシステム」で、戦略的人事を加速させてきた株式会社カオナビ。同社の大阪オフィスでは、西日本事業の拡大構想や、人員増加を受けて、オフィス移転を検討。当社は移転プロジェクトに伴走しました。
コーポレート本部 総務労務グループにて、オフィスのファシリティマネジメントを担当し、今回のプロジェクトも主導された齋藤様にお話を伺いました。(以下敬称略)
背景・課題
ポイント
齋藤
西日本での事業拡大にともなう大阪オフィスの人員増加に対し、既存社員の環境改善を行うためです。大阪オフィスではそれまでシェアオフィスを利用してきました。しかし、カオナビではこの度、西日本での事業を拡大し、サービスのさらなる認知度向上を目指すことになり、西日本営業の拠点・ハブ的役割を果たせる環境が必要になりました。
また、大阪オフィスの人員は増加が見込まれ、セキュリティ強化も含め、社員がより働きやすい環境へと改善する必要もありました。ほかには、「今後のビジネスの変化や、社員のいろいろな働き方に対応できるオフィスにしたい」という構想も。そこで、こうした展望に適うオフィスへと移転することになったんです。
株式会社カオナビ コーポレート本部 総務労務グループ 齋藤様
齋藤
ほとんどの手続きをリモートで進めました。プロジェクト期間は約半年、実際に大阪へ足を運んだのは3回です。短期間できっちりやり遂げるのがカオナビのスタンスなので、要所要所でスピーディーに決断し、進めてきました。
齋藤
移転にあたって、「シェアオフィス継続か、賃貸オフィスを選ぶか」が大きなテーマとなりましたが、西日本営業の拠点になるという方向性を考慮し、梅田の賃貸オフィスを選ぶことにしました。
OB 西村
大事なのは、「そのオフィスで何を叶えたいか」ということです。「シェアオフィスではなく、賃貸オフィスだからできること」を考えたとき、自社オフィスならではのブランディングやセキュリティレベルの高さという点から、今回の物件を提案させていただきました。
当社 西村
齋藤
まず、ワンルームでも気分を切り替えられるゾーニングです。「執務エリア」「カウンター席エリア」「BOXエリア」「リフレッシュエリア」と、ゆるやかに複数のエリアに分かれています。
また、カオナビの価値観を表現する場として、ブランドカラーを融合させた空間づくりもポイントですね。「カオナビ」の製品自体が目に見えるものではないですし、人材管理システムには堅いイメージがあると思うので、「遊び心がありつつも、誠実さや先進性も表現できるように」という思いを込めました。
夜景も見える眺望の良い窓際のカウンター席
カフェのような使い方ができるリフレッシュスペース
仕事内容や目的に応じて選択できます
堅いイメージを感じさせない遊び心がある会議室
齋藤
カオナビには「相互選択」のもと、「仕事をする環境=“箱”は会社側が用意して、使い方は社員が自由に選択し、自身で使える幅をつくっていく」という考え方があります。
この考え方をベースに、Webミーティングや1on1ミーティング、一人で集中など、用途に合わせて空間を選択できるのがポイントです。フリーアドレス制もその施策の一つ。「朝だけオフィス」「午後からオフィス」といった形で、働き方や時間も社員自身が選択しています。
結果、出社率は上がっています。出社率を上げることは目的ではありませんでしたが、一つの箱として選択しやすくなったのかなという実感を持っています。
齋藤
2~3年後を見据え、リノベーションしやすい設計にしています。増員は今回のオフィス移転理由の一つではありますが、将来の人員拡充のために机をうまく詰め込めるデザインに……というのはカオナビの考え方とは違うかなと。
OB西村
そうですね。「人が増えるから床を増やす」のような考え方だと、選択肢が少なくなってしまいます。
齋藤
そこで、完成形をつくるのではなく、今後の変化に耐えうるデザインを意識しました。スペースに余裕があるので、執務エリアを拡大したり、新しいエリアをつくったり、どう使うかをディスカッションできるようなつくりにしています。使い方の選択肢が増やせる、柔軟なデザインになっていると思います。
OB西村
そのような組み替えられる空間づくりなど、選択肢を残すようなニーズは増えています。移転後もうまく運用していただけるようなオフィスづくりのご提案が僕らの仕事だと思っています。
齋藤
課題の焦点を絞って、うまく要件整理していただいたおかげで、とてもスムーズでした。情報を出されすぎてもうまく選択できなくなってしまいますが、西村さんからは必要な情報を必要な分だけ的確に出していただいて。ムダがなく、タイミングも良かったので、コミュニケーションがスムーズでした。社内においても決断コストが少なかったかなと思います。
OB西村
コミュニケーションの頻度は多かったですね。ほぼ毎日のように電話させていただいて、その場その場で情報提供していました。
齋藤
確かに連絡は密に取っていましたが、要件一つに対して一つの返答といった感じで、ムダなやりとりがなくてすごくシンプルでしたね。お互いのインプット・アウトプットのサイクルが良かったなと思います。社員のニーズを拾いながら、西村さんから提供していただいた情報を合わせて、社内承認に至ったというような形です。
齋藤
不動産特有のプロセスで、カオナビから仲介会社、管理会社、オーナーと、伝言ゲームのようなやりとりも多かったのですが、西村さんの咀嚼が早く、正確だったので情報共有しやすかったです。
法律でできないことが出てくるなど大変なこともありましたが、知見のない部分を西村さんにサポートしていただきました。交渉が必要な場面では、「こちらの要望を通すにはどうアプローチしていくか」など、交渉のシナリオづくりを一緒にしていただきましたね。
OB西村
確かに、先方のルールとこちらの要望をうまく合致させられるよう、いろいろなやりとりがありましたね。
齋藤
ニーズを汲み取るだけでなく、顧客の温度感に合わせた提案力や、プロジェクトを遂行するドライブ力のある方だなという印象です。ベストと思われるプランを一つだけ用意するのではなく、別の切り口からのプランBも用意してくれるなど先読みして動いていただけたおかげで、スムーズに進められたのだと思います。
OB西村
前回の本社のご移転も見ていたので、ある程度、社内調整のフローは把握していました。「カオナビ様なら、次はこうなるかな」と予想して、事前に資料を作成していましたね。
齋藤
西村さんが先手を打って提案してくれるので、こちらも先に社内状況を予測するなどして、社内承認の土台を二人でうまくつくれたなと思っています
OB西村
齋藤さんから社内調整など、細かい部分のご相談をいただいていたおかげです。全体として、オフィスの話というより、「プロジェクトをどう進めていくか」という話が多かったですね。「お客様として」というだけでなく、同じ“チーム”として取り組ませていただき、僕自身すごく楽しかったです。
齋藤
オフィス利用率の高い社員の要望を優先していくのが、今後のオフィスづくりにおける一つのメソッドかなと考えています。出社率が高い社員の要望を拾っていくことで、オフィスストラテジーが立てやすくなるのかなと。
ただ、働き方もオフィスのつくり方も、余白を残した考え方でないとうまくいかなくなると感じています。2~3年後の自分も、今と同じ働き方とは限りません。仮説を立てたり、予測をしたり、働き方にしてもいろいろなバックアッププランを考えながら進めていく必要があると思います。
このように様々なことを考えていますが、結局、オフィスを使うのはカオナビの社員なので、一番の願いはカオナビ社員の満足度が上がること。これが今後のオフィスづくりにおいて最も大切にしていきたいことです。
会社概要
取材・文:西村 まき 撮影:秦 真理子
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